噛みグセを直すには

 

犬を飼う多くの人が悩まされる問題が「噛みグセ」です。

「お皿からこぼれたフードを入れてあげようとしたら噛まれた」
「寝ている犬をなでようとしたら噛まれた」
「爪を切ってあげたら噛まれた」

シチュエーションは様々ですが、愛犬に噛まれた飼い主のショックはとても大きいものです。愛犬が突然態度を豹変させて噛み付いてこようとする姿にパニックになったり、落ち込んだりしてしまいます。「何か異常事態があって、うっかり噛んでしまった」というようなことならまだしも、同じことが二度三度と続くと、「育て方を間違えたのかも」「うちの子はおかしくなってしまったんじゃないか」と悩むこともあります。ですが、犬には犬なりの言い分があり、飼い主がそれを理解できていない場合があります。犬が嫌がることを良かれと思ってやっていたり、上下関係を教えようとして力ずくで押さえ込んだりしていませんか?犬の気持ちや習性を理解しながら、しつけをすることが大切です。

そもそも犬は「噛む動物」です。あるときは獲物をとるために、あるときは争いに決着をつけるために、またあるときは敵を威嚇するために、噛み付こうとしますし、それだけの力のある牙(犬歯)を持っています。どんなにかわいい姿をしていても、「噛む動物」だということは忘れないようにしましょう。それを理解した上で、日常生活の中で、「噛み付き事故」を減らすトレーニングをしましょう。

多くの場合、犬は噛み付く前に「危険信号」を出します。犬は頭の良い動物ですから、むやみやたらに噛み付いて相手にケガを負わせるようなことはありません。最初に「緊張」と「威嚇」があります。緊張は「体が硬直する」「背中の毛を逆立てる」といった身体的特徴が現れることで分かりますし、「威嚇」は「うなる」「歯をむき出しにする」「空噛みする」「飛びかかりそうになる」といった行動に現れます。状況によって、平常心から噛むまでの時間があっという間ということもあるので、細かいサインにも気づき、見逃さないようにすることが事故を防ぐ第一歩になります。

それでは、シチュエーションを想定しながら、どうすれば噛み付き事故を減らせるか考えていきましょう。

・自分の身を守ろうとして噛む場合
動物が攻撃的になるのは、危害を加えられそうになり、自分の身を守ろうとするときです。人間の常識で考えると、危害というと「暴力をふるわれる」というイメージだと思いますが、犬にとっては直接的な暴力だけでなく、服を着せられることや爪を切られること、見知らぬ他人に身体を触れられることなどにも恐怖を感じることがあります。つまり、気性が荒く、どう猛だから噛むのではなく、自己防衛本能が強く、臆病だから噛むのです。
こうした状況で、犬はまず「硬直する」「逃げる」などのサインを出し、それが通用しない場合の打開策として「噛み付く」という行動に出るのです。
予防としては、子犬のうちに、じゅうぶんに外に連れ出し、人や様々な物・音に触れさせる「社会化」を行なうのが効果的です。また、社会化期を過ぎた成犬であっても、あきらめずにゆっくりと外の世界に慣らすことで、少しずつ恐怖の対象を減らしていくようにすれば改善できます。
爪切りなど、日常のお手入れに支障がある場合は、マズルを固定する「口輪」を使うことも検討してください。「口輪」はペットショップなどで購入することができます。適合したサイズを選び、適切に使いましょう。

・自分のお気に入りを守ろうとして噛む場合
食べ物やおもちゃなど、自分が気に入っている物を守ろうとするのは、犬の本能のひとつです。ゴミ等、人間にとっては価値のない物であっても「奪われたくない」と感じたら、犬は本気で威嚇してきます。この状態になったら、ほとぼりが冷めるまで放っておくしかありません。しかし、もし、犬が守ろうとしているものが、犬にとって危険なものだった場合には、すぐに取り上げたほうが良い場合もあります。そういった場合には、おやつを見せ、少し遠くに投げ、取りに行かせるなどして犬の気を逸らし、その間に取り上げて隠してしまいましょう。

・犬どうしで争う場合
犬どうしの争いが起きる原因にはある程度のパターンがあります。

「臆病あるいは自信過剰の表れである場合」
「テリトリーに侵入され、不安になった場合」
「お気に入り(食べ物・おもちゃ・メス等)の取り合い」
「既にできあがっている集団に、新入りが現れたときに集中攻撃する場合」
「攻撃性を高められた犬種(闘犬や軍用犬など)」

これを頭に入れた上で、飼い主は散歩の時など、犬どうしのトラブルを事前に回避するよう、注意力を働かせるようにしましょう。普段おとなしいかどうかは重要な問題ではなく、シチュエーションが問題なのです。ノーリードで犬どうしを接触させるようなことは事故のもとです。

トイプードルとムダ吠え

 

トイプードルは、元々は猟犬として、あえて「よく吠える」ように作られた犬種です。そのため、猟をするわけではない現代のトイプードルも、よく吠える習性を持っています。
吠えること自体は犬にとっては自然なことで、ごく本能的な行為です。犬は吠えることが悪いことだとは夢にも思っていませんし、ムダだとも思っていません。また、犬にとっては、吠えることは感情表現の一種ですから、完全に吠えないようにすることは不可能だと人間が理解することも必要です。つまり、犬が「ワン」と言うことも許されないような環境では犬を飼うことはできないということです。
吠えることを「仕方がない」と妥協するのも一つの方法ですが、ご近所に迷惑をかけたり、散歩の途中ですれ違う人や犬を毎回威嚇するようでは困ります。トレーニングをして、
少しでも吠えることを減らしていきましょう。

トレーニングに入る前に、犬はどういうときに吠えるのか、なぜ吠えるのか、考えてみましょう。生活環境や、飼い主としての接し方の工夫で、改善できることがあるかもしれません。

・退屈して吠える
あり余ったエネルギーを発散するために吠えることがあります。
人、物、動物など何でも対象になります。
遠吠えしたり、穴を掘るような仕草をすることもあります。
・かまって欲しくて吠える、吠えておねだりする
「ごはん!」「散歩!」などのように、吠えれば自分の言うことを聞いてもらえる、と、一度学習してしまうと、犬は要求が通るまで吠えるようになります。
・不安で吠える
飼い主に依存度が高いタイプの子は、飼い主と離れるのが不安で吠えます。
元々群れで暮らしていた犬は、リーダーの不在に非常に不安を覚えるものなのです。
・興奮して吠える
ちょっとしたことで興奮のスイッチが入ってしまい、ハイテンションになります。
時には飛び跳ねながら吠え、興奮しすぎて、手がつけられなくなることもあります。
・警戒して吠える
飼い主を守ろうとして本能的に吠えることがあります。
また、車のエンジンや雷、花火などの音に驚いて吠えることもあります。
・威嚇して吠える
「怖いから近づかないで!あっちに行って!」というようなニュアンスです。
原因の対象となる人や犬などがいなくなるまで吠え続けます。

犬が吠えたら、その直前に何かあったか(音や訪問者など)、そのときの表情、吠え声のトーン、仕草などをよく観察してみましょう。ここに挙げた6つのパターンにあてはまることが多いと思います。吠えた理由によって、対処法も変わります。

・退屈して吠える場合
日頃のストレスが溜まっている可能性があります。吠えるようになる前に、散歩の距離や回数を増やすのが一番良いのですが、そういったことが難しいときには室内遊びでも構いません。コットンロープで綱引きをしたり、ボール投げをしたり、また、「お手」「おすわり」などのトレーニングをするのも良いでしょう。
・かまって欲しくて吠える、吠えておねだりする場合
「吠える=要求が実現する」と犬が覚えてしまっていることが問題です。
この方式をリセットするためには、「吠えても要求は実現しない」と覚え直させることが大切です。つまり、「徹底無視」です。一時的にひどく吠えますが、ここが正念場です。それ吠えている間は無視を続け、静かになっても無視し続けます。犬があきらめるのをじっと待つことが大切です。
・不安で吠える場合
留守番の前に散歩や遊びの時間をとり、犬を少し疲れさせましょう。
疲れた犬は留守番の間にぐっすり寝てくれるので、結果として吠えることが少なくなります。また、窓などから外の景色や人の出入りが見えるところにハウスがある場合、犬が吠えやすくなります。犬が落ち着ける場所にハウスを移動してみるのも良いでしょう。
・興奮して吠える場合
うるさいからといって体罰を与えてしまうと、興奮を助長してしまうことがあります。
静かにハウスに入れるなどして、興奮が収まるまで無視を決め込みましょう。
・警戒して吠える場合
人間には理由や原因のわかる物音も、犬にとっては恐怖の元になることがあります。
多少は仕方ないと妥協しなければなりません。ですが、インターホンの音などに吠える場合は、「インターホンが鳴ったらおやつをあげる」ようにして、「インターホン=いいことが起こる」と覚えさせ、「ハウス」で待たせるようにすると良いでしょう。
・威嚇して吠える場合
散歩中に出会う人や犬に吠えてしまうのであれば、飼い主がそれらを視認した段階でUターンし、出会わないようにするのが一番の良策です。不意に出会ってしまった場合は、リードの付け根を持ち、犬を引き寄せて、おやつなどで犬の気がそれるように工夫しましょう。身体の小さいトイプードルなら、抱き上げてしまうのも手ですが、興奮がひどく、暴れたりする場合は落下などの危険性もあります。

トイプードルとトイレ

犬は寝床が汚れるのをとても嫌う動物です。こだわりが強い子になると、寝床だけでなく、部屋や家が汚れるのを嫌う場合もあります。

そんな性質を利用し、子犬のうちからトイレトレーニングをさせます。子犬を家に迎えたその日から始めてください。

まず、トイレの場所を決めます。電化製品の近くや汚れて困るものの近くを避け、犬が落ち着いて排泄できるように、部屋の隅の静かな場所を選んでトイレトレーを置き、シーツをセットします(トレーなしでシーツを床にそのまま置くようにしても構いません)。
トイプードルは胴が長いため、おしっこがトイレからはみ出してしまうことがあります。トイレトレーを選ぶときには、少し大きめのものを選ぶようにします。また、特に子犬のうちは、トイレの位置を正確に把握しているわけではないので、トレーの下や周囲にもシーツを敷き、はみ出しに備えておくと良いでしょう。

トイレを設置したからといって、犬がすぐにそこで排泄できるようになるわけではありません。子犬のうちは、まだトイレのタイミングも定まっていませんし、飼い主のほうも、犬の「おしっこがしたい」「うんちがしたい」というサインを読み取ることができません。始めのうちは、トイレでできなくて当たり前だと思ってください。

犬は排泄する前に、落ち着きなくうろうろしたり、周囲のにおいを嗅ぎまわったり、毛布などをかきむしる仕草をしたり、と決まった行動をとります。これらのサインに気づいたら、トイレに連れて行くことができるよう、観察をすることが大切です。排泄のタイミングは、寝起きとごはんを食べた後、遊んだ後などが多いと思いますが、そのうち定まってきます。

犬が排泄のサインを見せたら、「トイレ」「トイレ」と言って連れて行き、「トイレ」の名称を覚えさせ、行動と結びつけていきます。おしっこをするときは「シーシー」「シーシー」、うんちをするときは「ワンツー」「ワンツー」と声をかけてあげます。これを根気よく繰り返していくと、「トイレ」は排泄をする場所であり、「シーシー」はおしっこ、「ワンツー」はうんちのことだと犬は理解し、覚えます。

うまくできたときには、「よかったね」「えらいね」と言って大げさなくらい褒めます。
うまくできなかったときは、叱るのではなく、何も言わずにそっと粗相を片付けるようにします。ひどく叱ってしまうと、犬は排泄をすること自体が悪いことだと誤解してしまうことがあります。においが残っていると、犬は同じところで粗相をすることがあるので、犬が舐めても大丈夫な消臭スプレーなどを使い、きれいにしておきます。

 

トイプードルと散歩

 

トイプードルは活発で、散歩好きな犬です。
4ヶ月ごろまでは免疫力が弱いので家の中で遊ばせますが、それ以降は1日2回程度、散歩に連れ出し、短い時間から慣らしていきましょう。1歳ごろまでは骨格ができあがっていませんから、リードを無理にひっぱったり、長距離歩かせたりするのは避けたほうが良いでしょう。1歳を超えたら、ストレス発散と、腰を守る筋肉をつける運動を兼ねて、積極的に散歩をさせてあげましょう。

健康状態が良ければ、散歩は1日2回、1回20~30分程度、距離にして1~2キロぐらいが理想的です。気をつけなければならないのは、椎間板ヘルニアを予防するため、幼犬のときも、成犬になった後も、階段や段差のあるところは避けたり、抱っこしてあげたりする必要があるということです。飛びつき癖がある場合は、やめさせる努力をしましょう。
散歩に行くときに、飼い主への反抗以外の理由で歩くのを嫌がったり、いつもと歩き方が違うと感じたときは、散歩を中止して安静にし、場合によっては獣医さんに相談したほうが良いかもしれません。椎間板ヘルニアも早期発見ができれば、回復の可能性が高くなります。

動くものを追いかけたがったり、よその犬を見かけて吠えたり、土や草のにおいを嗅いだり、と、トイプードルは五感の全てを使って散歩を満喫しようとします。時には、得意の嗅覚を活かして、見つけた何かを拾い食いしてしまうようなこともあります。これには注意が必要です。動物や昆虫の生体あるいは死骸やフン、草やキノコ、腐った食物などは、有害であることも考えられます。散歩のときは、進路上にそういったものがないか、飼い主が常に目で見て確認する必要があります。トイプードルとの散歩には、飼い主の注意力が求められるのです。

冬季、寒がりなトイプードルは散歩にあまり行きたがらないことがあります。
小型犬は筋肉や皮下脂肪の量が少なく、身体の熱が外に逃げやすいため、気温の低いときには心臓に負担がかかりやすくなります。雪の降るような寒い日には、ファッションとしてだけではなく、実用的な面から、服を着せるのをおすすめします。

夏季はあまりにも熱過ぎる時間帯の散歩は避けましょう。
日射によりアスファルトの温度は、人が裸足で歩くことができないほど上昇しています。
このような中を歩かせては、犬も肉球を火傷してしまいます。
また、トイプードルは胴が低い位置にあるため、路面の熱をそのまま受けやすく、他の犬種と比べて散歩中に熱中症になりやすいので、夏のお散歩は、朝は早めに、夜は遅めに行くようにしましょう。

散歩のときは、必ず首輪とリードをつけるようにしましょう。万が一に備えて、犬を自治体に登録したときに交付される「犬鑑札」や「迷子札」などをつけておくと、犬を逃がしてしまった場合などに役立つことがあります。

散歩のときは、家でおしっこやうんちを済ませてから、というのがマナーなのですが、やはり外で用を足したい子もいます。道路や公園を利用する人の迷惑にならないよう、おしっこをしたあとは水をかけ、においが残らないようにします。水は飲用を兼ねて、ペットボトルに入れて持ち歩くと良いでしょう。うんちをしたあとはきちんとビニール袋で回収し、持ち帰って処理しましょう。

散歩は「しつけタイム」でもあります。飼い主と速度を合わせて歩く訓練をしたり、「お座り」などを教えたり、他の犬とすれ違うときのマナーを教えたりしなければなりません。
基本的に、犬のしつけは「ご褒美方式」ですから、できなかったことを叱るのではなく、できたときに思い切り褒めるようにします。そのときに、少しおやつを与えるのが効果的です。犬用のビスケットやスナックなど、持ち歩きやすいおやつを小分けして散歩に持っていくと良いでしょう。